パニックになっている子への対応実例 〜ステップを分ける×共感・言語化×〜

パニックを引き継ぐ
休み時間に職員室に向かうとき、校庭で喧嘩してパニックになっているA君を見かけました。
横で担任の先生が「嫌だったね」と言いって、落ち着かせようとしています。
しかし、
「でも、相手も嫌だったんだよ」「君も、バカって言ったよね!」
と、なんとか悪かったことを認めさせようとします。
先生の言葉で、「なんでぇ!!」「あいつ殺す!」と、さらに興奮してパニックになっている、という状況になっていました。
しばらく見て収まりそうになかったので、横で話しかけて、
「私が対応するので、先生は授業に行ってください」
と引き受けました。
◆最初は落ち着かせる(言語化)
「相手が悪い!」と思っている子に「君も悪かっただろ!」と納得させようとしても、なかなか言葉は入りません。
なので、
「死ね!」「ぶっ殺す!」
と呟く子の横で、
「嫌だったね」「ムカついたんだね」
とAくんの気持ちを言語化し共感しました。
すると
「そうだよ、嫌だよ!」
「ムカつく!許せない!」
と、パニックで暴言を使っていますが、私の言葉を使って表現を徐々に変えてくれました。
◆クールダウン
その後、「あっち行きたい!」と言い始めました。どうやら、校庭の隅の池がお気に入りのクールダウンの場所のようです。
びわの木やクローバーが好きなようで、しばらくいじったり、トラブルとは何も関係のない雑談を続けたりしました。頭の中が、マイナスの気持ちでいっぱいなので、トラブル時の話をすればパニックは続きます。
よって、関係のない好きなことの話をして、頭の中の思考をプラスの気持ちで、徐々に割合を増やしていきます。
しばらくすると、暴言が減っていきました。
すると、「あ!」と言って、池にいるカエルを見つけました。
そして、池のそばで捕まえて「もって帰ろう!」と明るく言いました。
◆気持ちの切り替え
この時点で、気持ちはほぼプラスの割合になったと思いました。
そして、近くの缶を渡して
「これに入れて持って帰ろう(^ ^)」
と声をかけました。
すると、素直に受け取ってくれたので、「じゃあ下駄箱行こうか」と声をかけました。
教室に行こうか、と言うとまた喧嘩の記憶が蘇ってしまうと思ったので、関係のない下駄箱で提案してみました。
すると、そのまま素直に下駄箱へ行ってくれました。
そして、自然に教室に向かってくれました。
(学校に入ったら教室に行くと言う行動が自動化している成果だと思います笑)
そうして教室に行くと、次は担任と落ち着いて喧嘩の振り返りをしてくれました。
送り出す時に「さっき先生に話してくれたことと、同じことを言ってね」と声をかけました。一度体験したことなら、再現するのも用意だからです。
振り返り
パニックになっている子は、落ち着かせないと話はできません。
よって、最初は落ち着かせることに力を注ぎます。
その後、話し合いという流れにしなければ、十分に振り返ることは難しいです。今回はカエルという「楽しみ」をゲットできたので、早く切り替えができたのはラッキーでした。
また「死ね」「ぶっ殺す」という言葉を「嫌だった」「という状況の程度に合わせたマイナス言葉に合わせ変換できたのも、効果的でした。
「ばか!」「死ね!」「殺す!」など、強い言葉には感情が引っ張られやすいので、この言葉を使っているうちは、なかなか感情の高ぶりはおさまりません。
したがって、トラブルの内容にちょうどいい言葉に変えてしまうと切り替えやすくなります。
その時に、「それは、『嫌だった』ぐらいだよ!」と正面から言っても子どもには伝わりません。
横で「嫌だったんだね」「ムカついたね」と共感の声かけとして投げかけることで、子どもは聞いてくれます。
これは。アイメッセージと同じように、選択権は子どもに与えながら声をかけると、子どもも受け入れて言葉を変えてくれやすくなるという効果もあります。
しかし、担任の立場を立てつつ、子どもの問題を解決するのはけっこう考えたので、大変でした(^_^;)
もし、存在感を出して解決してしまうと、解決は早いかもしれませんが、担任より強い影響力をもっては後々支障が出ます。(「あの先生の言うことは聞くのに、担任の言うことは聞かない」となると次からのトラブル解決が大変になります)
あくまで担任が第一で、その他の先生は2番目でいなければいけません。
よって、「自分が担任なら・・・」「俺だったらもっとこうするのに・・・」と頭に浮かんでしまう気持ちは抑えつつ、状況を紙にまとめて机の上に置いておきました。
終わりに
よく、
「パニックになった子にどうすればいいですか?」
「子どもが話を聞いてくれないので、トラブルが解決できません」
と言う相談を受けるので、実際の事例を紹介した方がわかりやすいかな、と思ったので今回まとめてみました。
予想外の反響があったので、何か参考になる部分が多かったのかと思います。
お役に立てれば幸いです(^ ^)
喧嘩してパニックになっているA君に、担任の先生が「嫌だったね」と言いつつ「でもね」「君もね」となんとか悪かったことを認めさせようとして、さらに興奮してパニックになる、という状況に出くわした。
収まりそうになかったので、「私が対応するので、先生は授業へ行ってください」と引き受けた。— ともはる先生@放デイ職員×小学校教員 (@tomo_haruuu) 2019年7月8日
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