字を見て子どもの特徴を理解する 〜間違いには子どもの見ている世界が現れる〜

字がうまく書けない子
子どものノートやプリントを見ると、字が崩れていたり、「とめ・はね・はらい」が雑だったりして、つい「丁寧に書きなさい!」と言いたくなってしまうことがあります。
しかし、人間には得意不得意があり、誰しもがすぐ綺麗な字を書けるわけではありません。
どうすれば字を丁寧に書いてくれるのでしょうか?
字には特徴が現れる
大人から見ると「汚い字」と一括りにしてしまいがちになりますが、よく見るとその中でも色々特徴があります。
特徴がわかると、その子が頭でどう漢字を認識して間違えているのか傾向が見えてきます。
今回は、よくある字の間違いから、その子がどう字を認識しているのかという話を紹介します。
◆字の形が少しだけ違う
上の写真のように、線が一本多かったり、形が少しだけ異なったりして間違っている場合があります。
これは、
「文字を形として認識することが得意」だけど、「集中して細かい箇所を見るのは苦手」という子に多い間違いです。イメージで記憶するのが得意な分、大枠の形はすぐに覚えることができますが、細部を捉える力が低いので、うっかり線を書き忘れたり、多く書いてしまったりします。
このような子には、例えば「間違い探し」などの遊びで細部に注目して見るトレーニングなどが有効です。
◆読み方が同じ字と間違える
上の写真のように、読み方は同じだけど異なる字を書いてしまう子もいます。
これは、漢字を読み方という「音」で結びつけて覚える子に多い間違いです。漢字には「字が異なっても読みが同じ」という字がたくさんあります。
音で覚えることが得意な子は、聞いたことを記憶する力が高くても、複数の候補からどの字か判別する箇所で間違ってしまうケースが見られます。
「見る・観る・診る」「登る・上る」「生かす・活かす」「作る・造る・創る」など、使い分けがわかりにくい漢字はたくさんあるので、「音」で覚えることが得意な子にはこのような間違いがよく見られます。
よって、漢字を覚える時は、
- 「目で見る時は『見る』」
- 「風景を眺めるときは『観る』」
- 「お医者さんが患者さんを診察する時は『診る』」
などのように、同じ読みの言葉を一覧表にして意味の使い分けを明確にすることで、理解が進みます。
最後に
上記以外にも子どもの特性は様々であり、間違いの現れ方も多様です。
大事なことは、ただ「正しくやりなさい!」というのではなく、その子の課題を解決する手段を提供できることです。どうすれば良いか明確になれば、子どもたちは一生懸命取り組んでくれますので、その期待に応えられるよう大人もがんばりましょう(^ ^)
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