ADHDの子は怒った表情を理解するのが苦手? 〜表情を認識する力を測定した研究〜

何度言っても・・・
ADHDを抱える子は、多動衝動性の特性のために時に友達と喧嘩になったり、大人に叱られたりしてしまいます。
しかし、懲りずに何度もトラブルを起こしてしまい、その結果、対人関係に困難を抱えてしまうことがあります。
一体なぜこのような行動をしてしまうのでしょうか?
ADHDの研究
発達障害は現在世界中で研究されており、日々新しいことがわかっています。
その中で最近、中央大学の研究で、
「ADHDを抱える子は、他者の怒った顔を認識する力が、発達障害のない子(定型発達の子)に比べて低い」
ということが発表されました。
(参考HP:中央大学プレスリリース)
この研究で、ADHDの子(小学生)は
- 笑顔に対しては定型発達の子と同じように脳が活動する
- 怒った顔を見た時は、定型発達の子とは異なり脳が活動しない
という現象が確認されました。
このことから、ADHDを抱える子とそのほかの子では、表情を認識するための神経基盤が異なっているのではないか?と推測されています。
現場での応用
このような研究結果は、すぐに現場で使えるわけではありません。また一つの研究結果が真実とも限りません。(同様の研究の結果が複数報告されて、真実であると徐々に周知されていきます。)
しかし、支援時の子どもに対する見方を広げることが可能になります。
例えば、叱られても行動を変わらないADHDの子であれば、笑顔で説得してみると認識しやすくなり、適切な行動を覚えやすくなるかもしれません。
あるいは、お説教中に聞いてない様子を見ても「これは私の表情が伝わってないのかも」と考えれば、冷静に対応できるかもしれません。
現場では、子どもに合わせて支援を調整していきます。その時に、様々な研究結果や実践報告を知っていると、考え方の幅が広がり、より子どもに合わせた支援が可能になります。
終わりに
個人的な印象ですが、教育・福祉の現場の人は、「研究」というものに抵抗感があるように思います。
- 「そんなこと現場では当然」
- 「もっと役に立つ研究をしてほしい!」
- 「小手先の情報より、愛情をもって接することが大事でしょ!」
のような意見から壁を作ってしまい、自分の経験論で仕事を進めてしまいます。
しかし、自分の経験論で進めた結果、「体罰」「虐待」など独りよがりな考えで事件を起こしてしまったり、時に世間の常識になっていることを知らない人になっていることもあります。
研究と現場の両方を知り、教育・支援をすることは、最良の教育・支援を行うことにも繋がります。
今後とも情報提供をしていきますので、よろしくお願いします(^ ^)
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※第2版がでました(^ ^)