教室を飛び出す子はどんな子? 〜個人と環境のミスマッチ〜

教室を飛び出す子
「授業中に教室を飛び出してしまう子に困っています」
という質問をいただくことがあります。
先生としては授業を進めなければいけないので、当然困っているでしょう。
しかし、この話には子どもの話をする前に、いくつか抑えておくポイントがあります。
今回は、「授業を飛び出す子」について紹介します。
なぜ授業を飛び出してしまう?
これは私の経験からくる個人的な印象ですが、授業を飛び出す子の多くは「勉強が苦手な子(or学習障害)」のケースがほとんどです。
なぜなら、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の子であっても、勉強に困難がなければ、授業はそこまで嫌でないことが多いです。
周囲に合わせなければいけない休み時間より、授業中の方がやることが明確で落ち着きますし、多動性の高い子も、刺激の多くは教室内にあるので、わざわざ外に出る必要性は生まれません。
しかし、勉強が苦手だと授業中全てが苦痛の時間になってしまいます。
だから、教室を飛び出すし、先生に反抗するのです。
前提「学校の授業=勉強をするところ」
特別支援に関する発信をしていると、
- 「授業中じっとできない子がいます」
- 「わがままで手に負えない子がいます」
のように、行動面で課題がある子にどうすればいいか?
という質問をよく受けます。
もちろんできる限りのお答えはしますが、それは「授業に課題がない」という前提の上です。
学校の授業は、勉強をするところです。
だからこそ、授業についていけない子は全員苦しい環境にいることになります。
ここに、多動性、衝動性、こだわり行動、社会性の困難などの特性が加われば、当然授業を飛び出したり、言うことを聞かず勝手な行動を始めます。
部活動でも、レギュラーで活躍できない子は退部したり、練習はほどほどにして別の楽しいことに時間を使うようになります。
授業を飛び出す子も同様で、ただ「自分にとって最適な環境を探した結果の行動」なのです。
何をすべきか?
ここまで話して何をすべきか考えると、当然最初に行うのは「授業改善」です。
子どもが熱中し、成長し、テストで点が取れる授業とは何か?
まず、それだけを考えることが最優先です。
もちろん、発達特性によって授業への参加のしやすさも異なりますので、発達特性を踏まえて参加しやすい授業を考えます。
現在、学校スタンダードのデメリットは、この部分だと思います。
授業のやり方を統一してしまうと、スタンダードに合わない子がいても修正が効かないため、改善の手が限られてしまうのです。
さらに、授業という前提を抜かして不適応行動だけを取り出すと、結局意味のない手立てになります。
もし、授業改善が追いつかないのであれば、支援員による取り出し授業などの外部支援の手を考えましょう。
子どもの学習環境を保証することが、不適応行動には一番効果があるのです。
終わりに
現在、授業に参加できない子が全国で増加中にも関わらず、対策が後手に回っているのは、明らかに授業を練る時間が少ないからです。
そして上記で書いたようなことは、現場の先生は誰もがわかっています。
しかし、そこに手を回す余裕がないからこそ、誰も改善できないのです。
私は今の現状を変えるには、「学習指導要領の削減」しかないと思っています。
文科省が、学習指導要領を増やし教師の仕事を増やしたにも関わらず、働き方改革を進めよ、というのは明らかに矛盾しています。
中の人も色々な調整の上で決めていることではありますが、ここは「世論に押されて」という形で構わないで、是非とも「学習指導要領の削減」に舵を切って欲しいと思います。
メリットは、
- 教師の授業が減る
- 授業の準備時間が増える
- 子どもの負担が減る
- 放課後の活動が充実する
- 地域に任せる時間が増えるので、連携が進む
このようにたくさんあります。デメリットはPISA調査の順位が下がる程度です。
不要なものをカットし、大事なことに時間を使えるよう環境改善をお願いしたいと思います。
以上です。
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