「立体型板書の国語授業 10のバリエーション」を読んだ感想 〜国語実践×特別支援教育〜

国語教育実践研究大会
先日、国語教育実践研究大会に参加させていただきました。
こちらで「立体型板書」を提案されている沼田先生の発表を聞かせていただきました。
「立体型板書」とは、
「『論理的思考ツール』を活用して『論理的に読む力』を育てる板書」
と紹介されています。
(実際の板書は以下:沼田先生のツイートより)
✨モチモチの木✨
バリエーション10「循環型」で思考を深める!学習課題は「昼と夜のまめ太は何が違う?」です。まめ太が日々、この姿を繰り返しているのかと想像すると、読者として私はとても微笑ましくなります。私のプロフィールのトップ画像にも設定いたしました!ぜひ、ご覧ください✨ pic.twitter.com/jeaXMzRxsg
— NumataTakuya@小学校国語 (@numataku2525) December 5, 2019
私は特別支援オタクなので、「支援が必要な子にとって学びやすい方法なのか?」という視点で聞いていましたが、結果として「かなりいい方法だな」と感じたので、会場で本も購入しました。
今回は、沼田先生のお話を聞いて、本を読んだ感想を書いていきたいと思います。
感想① 「思考ツール」を子どもが無理なく使えるようになる
「子どもが『思考ツール』を教えよう」という提案は昔からありました。
しかし、忙しい授業の合間では思考ツールの紹介だけで終わったり、数個だけ集中的に使って終了、というようになかなか定着までできる実践発表は少なかったと感じます。
その点、普段の国語授業の板書を思考ツール的に構造化することで、クラス全員で使いながら無理なく学ぶことが可能です。また、慣れると他の授業(特に理科・社会)でも活用できるようになり、日常的に使える力になります。
これは、紹介に渡って生かせる力になると感じました。
感想② 同時処理優位の子への配慮となる
最近は、人間が物事を考える時に使われる「認知能力」には得意不得意があることが知られてきました。
有名なものとして、
- 同時処理優位:物事を同時に、関連づけながら考えることが得意
- 継次処理優位:物事を順番に、順序立てて考えることが得意
の2つがあり、人間はおおよそ半々の割合でどちらかに属していると言われます。
従来の板書は、以下のような子どもの事例を1つずつ書いていく「事例列挙型」が主流でした。
(※写真は管理者が行った授業板書)
実はこの板書は、情報が順序立てて書かれていくので「継次処理優位」の子に有利と言われています。
逆に、同時処理優位の子にとっては、理解しづらく不利なのではないかと言われていました。検証した研究などはありませんが、発達障害を抱える子(自閉症スペクトラムやADHD)には、視覚優位の子が多いと言われ、授業に遅れがちになる傾向があることがわかっています。
そこで、この思考ツールを活用した「立体型板書」の授業ならば、置き去りにされていた「同時処理優位」の子も、授業に参加しやすくなるのではないかと感じました。
感想③ 書くのが苦手な子への配慮となる
「立体型板書」を提案した沼田先生はノート指導について、
「板書をノートに写したいなら書いていい、しかし『読みの授業』は、読解し話すことが重要なので強制はしない」
としています。
これは「書くのが苦手な子」にとって、とても配慮された方法です。
なぜなら、書くのが苦手な子は、ノートを写すだけで精一杯になり授業の理解に力を使えない、という背景があるからです。
欧米では、読みや書字に困難のあるLD(学習障害)の子は、作業負担が多いと大事な活動に集中できないため、
「作業のポイントを絞る」
ことがLD支援において重視されています。
立体型板書を授業で扱うことは、学習が苦手な子にとって、
「情報が整理されて考えやすい」+「無理に書く必要がないので思考を集中できる」
というメリットがあります。
これは、国語授業に苦手感のあった子にとって、大きな支援になるでしょう。
終わりに
このようなメリットから国語授業で「立体型板書」を取り入れるのは、困難な子が多いクラスほど有効だと思いました。正直、普通級の国語授業をこれでやりたいな、と感じています。
一方、ただ一つ思うのは、「絵のセンスがない私ができるのか?」という点は不安です。こればかりは練習するしかありません(笑)
今回は沼田先生の発表より、とても良いアイデアをいただきました。私も負けずに、学び続けたいと思います(^ ^)
以上です!
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