パニックの子につられて騒いでしまう子にどう対応するか?

つられてしまう子
学校や学童など集団で過ごす場所では、子ども同士で大きく影響し合います。
一人が騒ぎ出したり、パニックになると、周りの子の集中が乱れたり、つられて騒ぎ出してしまう子がいるので、担当している先生は、
- 「相手にしてはダメです!」
- 「自分のやるべきことをしなさい!」
と頑張って指導しますが、動いてくれません。
集団指導の場ではよくある光景と言えますが、一体どう対応すればいいのでしょうか?
基本的な考え方
このような集団指導の場面での考え方は色々ありますが、今回は私の対応を紹介します。
第一に、このような事例では事前の条件が適切かを考えることが必要です。
つまり「『パニックの子』が横にいていつも通り行動できるのか?」という視点です。
単純な話ですが、大声で騒いでいる人が入れば、大人でも「文句を言う、その場から逃げる、ヤジを飛ばす」など反応してしまう人は多いです。そのような事態に子どもにだけ理想の対応を求めてしまっているのです。
教育現場の困りごとの多くは「そもそも、その年齢の子どもには難しい課題に対して適切な対応を求めている」という現象から起こります。これは「子どもの能力を把握することができない」という教師側の問題とも言えます。
ただし、教員養成課程や現場の研修でも、「子どもの実態把握」に関する内容はほぼありませんので、無理はないことです。(あるとすれば、特別支援教育の観点から子どもの特性や状態を分析するケース)
状況によりますが、「子どもがパニックになり、周りの子がつられてしまう」という現象は、そもそも当たり前です。もし動じることなく、行動できるとすれば、それは、
- 「子どもの能力が高い」
- 「大人と同じ行動ができる発達年齢に達している(高学年〜中学生)」
というケースです。
よって、騒いでしまう子どもを見て考えるべきことは、
- そもそも子どもがパニックにならないよう環境調整をする
- パニックの子の場所を移動させたり、パニックを収める
という騒ぐ子ども以外への対応が大切です。
「子どもを変える」と思って行動しては、子どもも大人も辛くなるだけの結果になります。
対応例
1のパニックにならないための対応は、例えば、
- 負荷の少ない課題に変えておく
- パーテーションで区切っておく
- 離れた席にする
- 相性の悪い子を遠ざける
- 窓と扉を閉めておく
- イヤーマフ(耳栓・ノイズキャンセリング)をつけておく
などの環境調整と、刺激に弱いのであれば先生からの声かけもできるだけ制限して、刺激を減らしておくことも重要です。
2のパニックの子を移動させる対応では、
- クールダウンスペースに移動させる
- ダンボールハウスの中に移動する
- 空き教室に移動する
- 校長先生の教室を借りる
などの、誰にも迷惑にならない場所に移動することが大切です。
また、パニックになる子でも、ダンボールハウスなど狭くて暗い、刺激が少ないスペースであれば、落ち着くことができる子もいます。
他にもパニックが浅い間であれば、「その子が好きな話題を提供して気をそらす」という手もよく使います。例えば、プリントで解けない問題があると「カッ!」とキレてしまう子に「昨日の巨人の試合見た?」と好きなものの話題を提供して意識をそらす、などの方法というです。
しばらく話すと落ち着いてくるので、「そう言えば、この問題はね〜」と自然に勉強に戻します。このような「そらし」のテクニックは、パニックや情緒不安定な子への対応として有効です。
上記の対応は一例ですが、「先生が困っているからと言って、むやみに子どもを変えようとしない」という意識を持つと先生側の困り感を少なくなるでしょう。
終わりに
先生は子どもを教育し成長させることがお仕事です。
しかし、それゆえに過度に成長を求めてしまうことがあります。
一人の人間として「その子には何ができるのか?何がまだできないのか?」を見極めることが大切ですね(^ ^)
以上、参考になれば幸いです!
=========================
※新刊が出ました!特支オタクの当HP運営者が、学級経営について全力で研究、実践した記録です!
※特支オタクの当HP運営者が、特別支援教育の手法を普通のクラスに取り入れてみた実践本の第2版です(^ ^)