子どもがアクティブになるグループ活動の工夫

アクティブな授業とは
新学習指導要領では、
「主体的・対話的で深い学び(=アクティブラーニング)」
が重視されています。
その結果、
「アクティブな授業」とは何か?
という話し合いが、各地で進んでいます。
その中で、一斉授業よりも、子ども一人ひとりの対話・活動量が多いペア学習、グループ学習などを研究する先生・学校も増えていると思います。
その結果、今度はペアやグループにしても
- 一部の子の意見で授業が進んでしまう
- 先生が子ども全員の活動を把握することが難しい
という、反省も聞かれるようになりました。
そこで、グループ活動をする際に
- 狙いからズレない
- 子どもの活動を把握しやすい
- アクティブラーニングになる
私の好きな工夫を紹介します(^ ^)
グループ活動の工夫
やり方はシンプルです。
グループ学習の際、黒板に班の数だけ線を引いて班番号を書きます。
(8班の場合)
そして、
「話し合いが終わったグループから、黒板に結果を書く」
これだけです(^ ^)
よくわからないと思うので、まずは通常のグループ活動の場合を考えてみます。
- 時間を決めて活動を開始
- 全部の班の結果が出たら終了
- 全体で結果の共有
- 結果をもとに話し合い
という流れで行うことが多いと思います。
これは良い流れですが、
「話し合うタイミングが、子どもが話したいタイミングではない」
という課題があります。
事例①理科
例えばグループで理科の実験をする場合、話し合いが最も活発なのは、実験中です。
実験中に色々気づき、考えた瞬間こそ、「話したい!」という思いが生まれ、話し合いが活発になります。
しかし、実験後の「結果の共有」「考察」の時は、すでに子どもは話し合いの後なので、子どもは「もうやったよ」状態で、話し合いの意欲が低く活発になりにくいと言えます。
また、多くの場合、どこかのグループで予想と異なる結果が出ることがあります。
これは「子供が調べたい!」となる瞬間ではありますが、実際は時間が足りず、再実験できない、となるケースも多いです。
このような、グループ活動の課題を解決にも、
「結果が出たグループから、黒板に書く」
という方法は有効です。
例えば先日、算数の「長さをはかろう」という単元でグループに分かれて
「1m以上の長さ(約120cm)のテープを30cm物差しで測ろう!」
という活動をしました。
30cmの物差しでは、測るのが大変!
→だからcmより大きい単位があれば便利!
というmの良さを実感するのが狙いの活動です。
私のクラスは4人班8グループなので、最初に黒板に8班分結果を書くスペースを用意し、
「測り終わった班の班長さんは、結果を黒板に書いてください。」
と言ってスタートしました。
どの班も活動のスピードはバラバラです。
よって、最初は算数の得意な子がいる班が終わります。
1班と2班が終わり、だいたい同じ値が出て、2班とも
「これぐらいだよな〜」と余裕の表情です。
しかし、次に5班が終わり答えを書くと、
「90cm」と答えにズレが生まれました。
こうなると、
1、2班「あれっ・・・」
5班「えっ・・・」
そして「俺ら間違えた?」「絶対90cmだったよね!」
と話し合いが始まり、
「もう一度やってみる?」
となりました(^ ^)
そうして再度やり直している間に、他の班も来て、書き始めます。
7・8班「あれ?90cm?」「でも、1、2班とはだいたい同じじゃない?」
迷いが生まれ、不安から話し合いが始まります。
次に、計り直した2班と4班がきます。
2班「これは間違いない!」
4班「だいたい同じかな、ん、90cm?あってるよね?4つ分だったよね」
→話し合い開始
5班「間違えた!あ、122cmであってるっぽいよ!」
3班「大丈夫そうだな〜」
各班終了
と、このような流れがありました。
グループ毎に黒板に書くことで、各班の結果を時間差で確認することになります。
結果、手順を間違えた班は「あれ?」と疑問を抱き再び活動します(^ ^)
あっている班でも、間違えた班の答えを見て「あれ?間違えた?」となり、話し合ったり、再チャレンジを始めます。
このように、時間差をつけることで、各班が結果の比較検討を始めます。
また、黒板に結果を書く子の班を見ていれば、比較検討、話し合いが始まるタイミングも同時に見れるので、子どもの思考の大事な場面を常に把握することができます。
時間差があるおかげで、
子供一人ひとりの大事な思考場面の把握がしやすくなる
のです。
また、各班が書き終えた時点で、
- 結果の発表
- 誤答の再確認
が終わっているので「時間の節約」というメリットもあります。
この工夫の結果、子供たちは
「ちゃんと測るのは大変!」
という思いを持ち、
「長い物差しあれば楽だよね〜」
→1m物差し登場(=mの学習)
という流れにつなげることができました。
この工夫は「グループで活動して結果を出す」という展開の授業であれば、幅広い教科で応用できます。
(私は国語、算数、理科、社会、の授業で可能でした。)
事例②国語
先日は、国語「スーホの白い馬」で
「スーホは何歳か?」というテーマでグループ活動をしました。
最初は10〜18歳の間ので、各班の予想を黒板に書きました。
すると、自然と他の班と比較検討を始めます。
- 「『おとなにまけないくらい、よくはたらいた』ってあるから、10歳は超えてるよ!」
- 「10歳とかで、20頭の羊の世話はきついんじゃない?」
- 「でも、18歳って高校生?中学生や高校生で『暗くなって心配される』とかないよ」
- 「子馬を連れてくることができるぐらいは体が大きいんだよ」
- 「『広い広い草原』で仕事をしているなら、体力はあるよね。6年生ならいけるんじゃない?」
と言って最初の各班の結果を比較検討して、深く文章から根拠を探そうと試みた結果、最終的にどの班も「11〜12歳」という結論になりました。
このように、国語のように答えがない活動でも、グループに分かれて比較検討をした結果、言葉を根拠に考える国語の力の向上につなげることができました。
終わりに
「話し合いが終わったグループから、黒板に結果を書く」という方法は、比較検討は自分たちの疑問からスタートするので
「主体的」であり、
結果を疑い、グループ内で話し合いが起こり、
「対話的」となり、
最初の結果を、比較検討、再確認を経て、
「深い学び」となります。
この手法の、元実践は筑波大学附属小学校の佐々木昭弘先生の理科の授業です。
他の授業でも試したところ、簡単に導入でき、学習効果も高いので、個人的に好んで使っています(^ ^)
グループ活動に課題を感じている方がいらっしゃれば、参考になれば幸いです!
【参考】
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