自閉症の人は脳が大きい? 〜脳研究から自閉症を理解する〜

自閉症の人は脳が大きい?
発達障害の研究
今、発達障害に関する研究が世界中で進められています。
その中でも、自閉症は症状の複雑さ、有している人の困り感の高さから、その解決のために様々なアプローチが取られています。
今回は、近年研究が進んでいる自閉症についての話題を1つ紹介します。
◆脳画像研究
今、発達障害の研究の中でも注目が大きいのは「脳画像研究」です。
なぜならば、発達障害とは「脳の機能障害」と定義されているので、必然的に脳を詳しく調べることがそのまま発達障害の解明につながるからです。
そして近年、MRIを始めとする体内を撮影する技術が発達を進み、脳を直接見て研究することができるようになりました。
自閉症の人の脳と、定型発達と呼ばれる人の脳を比較することで、自閉症の特徴や改善法を探ろうというアプローチが進められているのです。
◆自閉症の人は脳が大きい
まだ研究途中ですが、いくつかわかってきていることがあります。
それは、「自閉症の人は、定型発達の人と比べて脳の容量が大きい」ということです。
ノースカロライナ大学のヘザー・コーディ・ハズレット教授の2011年の研究では「2歳の時点で脳の過成長が見られた」という報告がなされました。(http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/83314)
また、日本の浜松医科大学の研究でも、自閉症の人の脳細胞定型発達の人よりも増大していることが研究で明らかになりました。(http://www.nips.ac.jp/srpbs/media/press/20121126press.pdf#search=%27浜松医科大+鈴木+尾内+ASD+脳%27)
◆脳が大きいことによって生まれる症状
脳が大きいことが一体何を意味しているのでしょう?
まだ研究途中の内容が多いので仮説の話になりますが、例えば自閉症の人は感覚に過敏性をもっていることが多いことが知られています。(一説には9割以上)
- 視覚に過敏性があり、常に色々な情報を捉えて集中できない
- 聴覚に過敏性があり、集団の中で話すと音の聞き分けができなかったり、大きな音で痛みを感じたりする
- 触覚に過敏があり、人に触れられると不快感を感じたり、特定の衣類を着れない
このような特徴も「脳が大きいことで感覚情報が普通の人より極度に増大している」と考えると、理解しやすいかもしれません。
他にも、自閉症の人は過去の記憶のフラッシュバックによるパニックが多いことが知られています。
これも、「脳が大きいため通常よりも膨大な記憶情報を保持しているために、負の記憶が定型発達の人よりも残りやすい。それゆえに忘れることができずフラッシュバックに繋がっている」と考えることもできます。
この記憶の話を逆のエピソードで考えると、
- 幼稚園の時から図鑑の中身を全て覚えていた
- 電車が好きで時刻表を全て暗記している
など、圧倒的な記憶力エピソードの証明にも繋がってくる可能性もあります。
(=脳が大きいので多くの情報を記憶できる)
まだ仮説の話ではありますが、このように考えると自閉症の人への理解も少し進んでくるのではないでしょうか?
終わりに
発達障害という言葉は広まってきています。
しかし、世の中の人が障害者を受け入れることができているか言えば、まだまだ受け入れることはできていません。
- 子どもが障害者だと受け入れられず、無理な教育を与えてしまう
- 自分に障害があると信じることができず、逆に支援級の子をバカにする子ども
このような人を多く見てきました。
それでも、理解のある人が少しずつ情報を広めて、障害の有無に関係なく自分の人生を生きていくことが可能な社会にしていくことを願っています。
参考