合理的配慮の具体例 〜テストで0点だった子が100点をとった話〜

学校の成績
学校の成績は、授業態度、作品・レポートなどの提出物、運動や図工は技能などで判断します。そして一番大きな影響力があるのはテストです。(テストがある国算理社の場合)
テストによる評価は賛否両論あります。
しかし、点数という客観的な視点で見ることができ、教師の主観も入らないため、純粋に評価という意味では一番公平なシステムです。
よって、学校現場では今後もテストが続いていくことが予想されます。そんな教育環境を踏まえた上で、今回のタイトルである、
「テストで0点だった子が100点をとった話」
をしたいと思います。
テストで0点を取るDくん
昔、私の担当クラスに、勉強に困難を抱えているDくんがいました。授業についていくのも大変。テストも苦手で、4月当初は名前だけを書いて提出する状態なので、当然0点でした。
私は
- 授業の改善
- 具体物を使った支援
- 休み時間の個別指導
- ワークシートの活用
など色々試しました。
そのおかげか授業では、少しずつ理解したり、発言したりする場面が見られるようになりました。
合理的配慮とは?
しかし「テストができない」と言う状況が変わりませんでした。
私は「頑張った分は評価をしてあげたい」という気持ちがありますがテストの点数が低いと、十分評価できないのも事実です。そこで、テストに関する合理的配慮を調べました。
その中に、
- 別室でテストを受ける(周囲の妨害刺激を無くす)
- テスト用紙を拡大する(読みの困難を減らすため)
- 指で取り掛かる問題を示す(問題に集中するため)
- 教師が問題を音読する(問題を言語情報ではなく、聴覚情報でも入れてみる)
など試していきました。
そして、徐々に解答できる問題が増えていき、0点の状態から20〜50点ほどにアップしていきました。後期に入り、Dくんは授業に参加できる場面が増えました。
テストで点数が変化したことで、自信もついていたと思います。また、困った時も周りの友達も暖かく支えてあげるようになり、授業への抵抗も減っていきました。
問題文を音読する
そして、後期初めてのテストで、問題文を自分で音読するという方法を試しました。
私が指で問題を示し、その子に問題を読ませてから問題に取り掛かります。すると、「これ!」「ここだ!」と、喋りながらスラスラと問題を解いていきました。
恥ずかしながら、あまりにスラスラと解くので、最初に見たとき私は声が出ませんでした(笑)
テストの結果
そして、結果は「100点」でした。(国語の問題は表と裏がありますが、両方満点でした)
テスト返却のとき、Dくんは非常に喜びました。(本当に、踊って舞っていました(笑))
私は、その後のテストでも、「音読をさせてから問題に取り掛かる」と言う方法を試しました。
そしてほとんどのテストが80〜100点でした。
後期の成績は前期とは見違えるものになりました。
また、ありがたいことに保護者の方からも、感謝の言葉をいただきました。
終わりに
これが、私の経験した「テストで0点だった子が100点をとった話」です。
長々と書きましたが、まとめると
「テストができない子」ではなく「音読すればテストができる子」だった
それだけの話です。
最初の話に戻りますが、テストによる評価は、今後も続いていくと思われます。そして、テスト・評価、どちらも子供の学習意欲に関わる重要なものです。テストでの適切な配慮の発見には、大きな意味があると思います。その方法は来年へと引き継ぎ、他の先生の元でも、中学校へ行っても活用することができます。
また、人生テストが全てでない、と大人は理解していますが、どれだけ
- 「点数なんか気にするな」
- 「成績だけが全てではない」
といっても、多くの子供にとって世界の大部分は学校と家庭であり、テスト・評価はどちらも話題にするものです。決して、テストが全てではないから、と言って無視していいレベルのものではないと思います。
近年、「障害者差別解消法」ができ、困難がある子への合理的配慮が義務化されました。そして個人的には、テストへの合理的配慮は、子どもへの影響が特に大きいと思います。
同時に、テストが変われば子どもの学習への取り組みも大きく変わると思います。今は、様々な配慮の方法が紹介され、具体的な支援が広まっています。合理的配慮によって全国で、どれだけの子が、救われ、喜んだのか考えると、ぜひ今後も広がっていって欲しいと思っています。
ひとつの例ですが、参考になれば幸いです(^ ^)
追記:
最近(2020年3月)では、合理的配慮の事例も増えましたが、同時に教員の仕事の負担も大きいので「親から依頼を受けたら、必ず実施しなければいけないもの」という認識が増えています。もちろん、法律にもあるのでやる必要はあるのですが、本来は教師が積極的に子どもに関わり、子どもの人生に適切な配慮を見つけることが目的です。
「親に言われたから」ではなく、教師自身の取り組みで行うものになって欲しいと願っています。
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