子どもの遅刻は家庭の責任? 〜毎日遅刻する子が、きちんと登校できるようになる話〜

学校の言い分
「子どもの遅刻は学校では面倒を見れない!家庭の責任です!」
と言う先生は多いです。
確かに、先生は子どもを起こすことはできません。
(「朝迎えに行くのは、他の子を見る時間が減るから禁止」という地域もあります。)
毎日遅刻するAくん
このことを考えるために、数年前に担任した「Aくん」の話をしたいと思います。
Aくんは夜になっても遊んだり、布団に入っても寝ないため、朝が起きれない子でした。
おしゃべりも多く、衝動的な行動が多い面がありました。
それまでの担任は、毎日遅刻するので、担任から母親に「朝ちゃんと起こしてください!」と毎年連絡をしていたそうです。
私も「遅刻があったら、しっかり母親に電話して」と引き継ぎを受けました。
4月にAくんを見ると確かに眠そうでした。頭にしっかり寝癖もついてます。
外遊びの時は元気だが、授業中は常に眠そうな目で、ダルそうです。
なのでAくんとお話をしました。
私「昨日は何時に寝たの?」
Aくん「わかんない、たぶん1時ぐらい」
私「早く寝たい?」
Aくん「なんか眠れない」
その後、授業参観の後に、Aくんのお母さんに話しかけられました。
(当時の学校は、4月すぐに授業参観がありました。)
Aくん母「うちの子大丈夫ですか?ご迷惑かけてませんか?」
私「毎日頑張ってますよ(^^)」
Aくん母「うちの子は、ほんとできなくて・・・何度言っても全然ダメで・・・」
私は、この時点でAくんへの対応を決めました。
みなさんなら、Aくんにどう対応しますか?(^ ^)
◆私の対応
私が決めたのは、
Aくん母に遅刻の話をしない
という対応です。
この時点で、Aくん母はとても苦しんでいると感じました。
- 我が子は注意しても眠らない
- 日々学校からも電話がくる
- 他のお母さんの目もある
など、「どうにかしたいけど、どうすることもできない」という状況に陥っていました。
だから、私に先に声をかけて、予防線をはったのだと思います。
そしてAくんは、学校で叱られ、家でもお母さんから叱られ、ストレスだらけの環境でした。また、衝動性が強い子の特徴で、ネガティブな記憶が強く残りやすい、という面もありました。
その結果、布団に入っても、ネガティブな記憶のせいで寝付けなかった、と想定しました。
(何事もやりすぎはよくないですね)
だから、Aくんとお母さんには、余計なストレスを与えず、穏やかに過ごすことで睡眠環境を整えることにしました。
お母さんと話す時は、Aくんの頑張っているところだけを伝えました(^ ^)
遅刻も授業中の態度も、言いません。
放課後に電話もしません。
前年の担任に「電話した?」と聞かれたら、
「しましたけど、変わらないですね〜」
と嘘をつきました(笑)
◆徐々に変化が・・・
そんな様子で1ヶ月ぐらいすると、Aくんがいつもより5分早く来ました。
(それでも10分遅刻でしたが笑)
私は
「早く来れたね!頑張ったね(^ ^)」
と褒め、
「明日は何時にこれるかな?」
と聞くと、
Aくん「明日は、多分間に合う!」
と言いました。
(次の日も遅刻でしたが、10分遅刻で済みました。)
その後も遅刻は続きましたが、少しずつ来るのは早くなっていきました。
夏休みに入る前は、5分遅刻
秋の運動会の前後はギリギリ門を通れるようになりました。
その度、Aくんを褒め、Aくん母に会うたび成長を報告しました。
12月になる頃には、遅刻はなくなり、その後、朝早く登校することも増えました。
そして、無事進級していきました。
◆私の思い
私のこの対応については、色々ご意見はあることかと思います。
それでも「遅刻する子が遅刻をしなくなった」という事実は残せたと思っています。
「12月までかかってるじゃん!」と思う人もいるかもしれません(^ ^)
でも「何年も続いた遅刻癖が、8ヶ月で治った」と考えたらどうでしょう?
子どもは、成長途中の未熟な存在で、変わるには、数ヶ月〜数年かかります。
困難を抱えた子ならなおさらです。
「すぐ変わるもの」と思うと、イライラして子供に怒ってしまうことになります。
「怒る」のは、即効性はありますが、持続性と副作用もあります。
なので、褒めて変わるなら、時間がかかっても良いと思います。
「急がば回れ」の精神が大事です(^ ^)
子どもの遅刻は家庭の責任?
さて、話はタイトルに戻りますが、子どもの遅刻は家庭の責任でしょうか?
- 家庭?
- 教師?
- 子ども?
私は誰の責任でもないと思います。
人は自分のできる最善を尽くそうとするだけです。
それでも悪い人がいるならば、誰かに責任を求め、解決を諦めた人だと思います。
人にはできること、できないことがあります。
しかし、教師の仕事は「子どもを成長させる」ことです。
責任者を探すのではなく、子どもを成長させる方法を考え続けましょう!
以上です!
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Comment
息子のクラスにも毎日遅刻をしてくる女の子二名います。
同じように先生はあまり注意しません。
私は自分が学生の頃から思いますが、普通に遅刻してこない子が当たり前であるのにそれを続けていることはすごいことで、それはほめてもらえず、毎日遅刻や素行が悪い子がたまにいいことをすると先生方はすごくほめてその子を伸ばしよくなったと自慢のように言っています。
普通にやっている子は、家で親に注意され怒られ日々努力しています。
こんなことなら不良になって更生したほうがいいことみたいな感じでおかしいです。
悪いことは悪いと叱ってくれる先生がいないからダラダラした子が多くなってる気がします。
うちの子は二年生の時に怒られないで遅れてきてたまにちゃんと来て褒められるなら遅れていきたいと言い出したこともあります。
先生方はこう言うことには、ちゃんとしている子には毎日ちゃんと来ています、保護者にもきちんとしていますお褒めの言葉送っているのでしょうか?
この遅刻が徐々になくなった子は担任が変わればまた同じなのではないでしょうか?
その後が知りたいです。
コメントありがとうございます。
まず、遅刻が改善した子のその後の様子は把握しておりません。学校移動もあり、進級後全ての子の動向を把握できる訳ではないのでご了承ください。
当事者の方や子どもの感情の面で考えると納得できる内容と感じます。私の記事は全て、教師側の目線で語っているので、当時の私のクラスの中にもいたのかもわかりません。
一応私の意見を記しておきますと、教育とは色々定義されますが、やっていることは「子供の行動を変える」ということにつきます。
自主自立など聞こえの良い言葉を使っても、結局は大人の都合で子供を動かしていることに変わりはありません。
だからこそ、子供が良い方向に進めるように最大限、常識・倫理観を働かせて、子供を変えていくのです。
私は「叱る、褒める」の話をしたつもりはなく、大事なことは「子供を変える」ことである、ということを書いたつもりです。
遅刻して今まで怒られ、自己肯定感の下がった子を「遅刻をしないで自己肯定感をあげられる子に変える」という対応をしただけです。
記事で書いてはいませんが、どの子もその子なりの課題を抱えており、教師は一つ一つ見取りながら少しでも良いものに変えていったつもりです。
それが、子供のためになっていたのか?逆に悪い影響を与えていたのか?それはわかりません。
教育には正解はありません。叱ったら正解、褒めたら正解、というわけでもありません。
質問者様の担任の先生も、そんな思い出日々迷いながら実践しておられると思います。
周りの人には千差万別の評価を受けていると思いますが、教師が日々悩みながら取り組んでいることだけ知っていただけると幸いです。
[…] https://teachers-job.com/chikoku/ […]
現在進行形で遅刻しがちな子の親です。
昨年は朝起きられなくて、遅刻が確定する時間になると欠席を選ぶ生活でした。
今朝は遅刻は確定ですが、登校の準備をしている子供をハラハラしながらですが、待っています。
少しずつですが成長を感じています。
こちらの記事を読んで励まされました。
私も我が子の様子を見るまで毎日遅刻してくる子が不思議でした。
今はなるほどなぁと舞台裏がなかなか複雑な状況だというのが理解できてきました。
当たり前のことを当たり前にできるお子さん、すごいと思います。
たくさん誉めてあげたくなりますね~。