褒められるのが苦手な子にどう対応する?

褒められるのが苦手な子
私は「ほめて育てる」主義です。
しかし、世の中そうではない人もいます。
例えば、
- 「ほめるのは相手を下にみてるんでしょ」
- 「大人に都合の良い子を育てようとしている」
- 「ほめられると気持ち悪い!」
という考えの人もいます。
教育では「ほめる」ことは大事と言われますが、上記の意見も理解できます。
では「ほめる」についてどう考えれば良いのか?
そして苦手な子にどう対応すれば良いのか?
私個人の意見を紹介します(^ ^)
基本の前提
私は基本、ほめられて気分の悪い人はいないと考えています。
ただ、ほめられて
- マイナスに受け取る人
- プレッシャーを感じる人
というのは、いると思います。
例えば、
「すごいね!」→「本当はそんなこと思ってないんでしょ!」
「優しいね」→「私は優しくなんかない!」
「作文作るの上手だね!」→「何かに利用しようとしている?」
と、マイナスに受け取ってしまう人がいます。
今まで出会った子の中にも、褒められると
- 「そんなわけないだろ!」
- 「すごくない!」
- 「うるさい!」
と、否定して受け入れられない子がいました。
また、ほめられると
「もっと期待に応えなきゃ!」
とプレッシャーになる子がいます。
これは、本来は良い体験なのに負の体験になってしまっています。
この
- マイナスに受け取る子
- プレッシャーを感じる子
に、どう対応すれば良いでしょうか?
◆マイナスに受け取る子
これは、
- ほめられた経験が少ない
- 叱られて育った
- 厳しく育てられてきた
などの経験から自己肯定感が低下している子に多いです。
「ほめられる」ことに慣れていないため、マイナスに捉えてしまうのです。
ここで考えるべきことは、そもそも
「先生はなぜほめるのか?」
ということです。
そして私の答えは
「子どもに良い行動を身につけさせるため」
です。
良い行動をした時は褒め、悪い行動をした時は叱る
この繰り返しで、子どもは行動を覚え成長していきます。
では、褒められるのが苦手な子はどうでしょう?
「個性と捉えて受け入れる」という考えもあります。
ただ私は「褒められるのが苦手」は社会で生きていく上で困難さを生む壁になり得る、と考えています。
なぜなら、「褒められる」→「嬉しい」というのは人として基本的な感情です。
この基本が不安定だと「愛着」や「信頼関係」を形成できず、精神が不安定なまま成長する可能性があります。
よって、
「良い行動」→「褒められる」→「嬉しい」
このプロセスを自然に受け入れられるようにしておくのは、教師として大事だと思います。
では具体策ですが、
「自己肯定感を上げる」
という取り組みが良いと思います。
ただ「褒められる」ということが自己肯定感につながらないので、
「成功体験を積む」
という取り組みを大事にします。
「できた!」という体験で得られた自己肯定感は、確実に子どもに入ります。
そして成功体験と同時に褒めます。
最初は嫌がっても、成功体験を積むうちに、素直に受け入れられるようになります(^ ^)
このように、マイナスに受け取る子には、
成功体験→自己肯定感の向上→褒める
というステップが大事です(^ ^)
※
「学校で教えていること、それ自体が良いことではない」という意見も一部ありますが、
「いじめをしない」「成長を楽しむ」「計画的に取り組む」「家族を大切にする」「自分で考える」
など生きていく上で大事な力はたくさんあると思っているので、良い行動の中身については今回は扱いません(^^;;
◆プレッシャーを感じる子
では「褒めるとプレッシャーを感じてしまう子」はどうでしょう?
褒められても「もっと頑張らなきゃ!」と重荷に捉えてしまうのであれば、良い行動を覚える前にストレスで潰れてしまいます。
ここで前提の話ですが、そもそもなぜプレッシャーを感じるのでしょう?
これは教える側の「褒め方」の問題かと思います。
例えば、
結果を褒めていると、子どもは結果にこだわるようになり、過程の大事さを感じなくなります。
「100点なんてすごいね!」と言えば、「100点」に価値を見出します。
そして次に99点以下なら「失敗体験」となります。
結果を求められていると感じプレッシャーになるのです。
一方、
「授業も宿題も頑張って取り組んだからだね!」
と言えば、「テストに向けた取り組み」に価値を見出すので、点数に左右されることはありません。
プロセスを褒めるのはとても大事です(^ ^)
また、本人に伝わらない褒め方も、子どもにプレッシャーを与えます。
例えば、
登校して換気で窓を開けた子がいても、
次の日の朝や関係のないタイミングで褒められると、
「なぜこのタイミングで?」と喜ぶより、疑問をもってしまいます。
もし、見た直後に「みんなのために、窓を開けてくれてありがとう!」
と言えば、素直に受け取れると思います。
あるいは、
自分の意見を発表した子に「すごいね!」
と褒めても、本人は「何のことを褒めてるんだろう・・・?」
と伝わらず、疑問をもつかもしれません。
そこで「『少し似た意見ですが』と、前の人と自分の意見を比べて発言しているのが素晴らしい!」
といえば、何を褒められているのか明確に伝わります。
このように「伝わる褒め方」ができているかどうか?は大事です。
※
よく、高学年や中学生では「褒められても素直に受け取らない」という意見を聞きます。
確かに思春期で、素直ではない行動が目立ちますが、基本は褒められて悪い気分にはなりません。(大人と同じです)
しかし「褒めても意味ないから厳しくする」と考えると余計、子どもの心も離れる結果になります。
ここは褒め方を工夫することで、受け入れられるようにする方が良いと思います。
(この「伝わる褒め方」は、次の記事で具体的に紹介します。)
このように、「プレッシャーを感じる子」には、
- プロセスを褒める
- 伝わる褒め方をする
が大事です。
終わりに
以上が「褒める」についての私の考えです。
現場でも「褒める先生」に対して
「嫌われるのが怖いから叱れない」
と思っている人は結構います。
(私も思われている節がありました(^^;;)
しかし、私は「褒める」は「子どもを成長させるための手段」であり、
子どもを一番効果的に成長させる方法
だから使っています。
(決して消去法で使っているわけではありません。)
「褒めても子どもに響かない」と感じる人は、もう一度「褒める」について見直してみてはいかがでしょうか?(^ ^)
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