自尊感情が低い子への対応:条件付き自尊感情

自尊感情とは?
教育では子供の自尊感情を高めることが重要だとよく言われます。
自尊感情とは、
「他者と比較し、優越感や劣等感をもつのではなく、自分で自分の価値を評価する程度。」
あるいは、
「自分が周囲の人々にとって、有用で価値ある存在であるという主観的感情。」
と言われます。
この自尊感情が低ければ、自己否定や自己の軽蔑にもつながっていきます。
一方、自尊感情が適度に高い人は、
「なんであろうと、私には価値がある!」
と無条件で自分の価値を信じることができるようになります。
当然、ストレスにも強く、うつにもなりにくいです。
◆どうやったらもてるの?
しかし、実際はこの高い自尊感情をもてる人はなかなかいません。
まして、なんでも横並びに行うことの多い学校教育です。周りと比較される場面も多く、子どもの自尊感情を高めることは難しい面があります。
私も毎回悩みますが、自尊感情を高める一つの方法として、
「条件付き自尊感情」
というものがあります。
これは、無条件で自分に価値を見出すのではなく、
「〜だから自分は素晴らしい!」
と、何かの条件を理由として、自分に価値を感じる感情のことです。
例えば、
「あの高校に入れた自分はすごい人間だ!」
「有名な〜教授のゼミに入れたから私は成功している!」
のような感じです。
これは、真の自尊感情とは言えませんが、「自分の価値」を感じているので、自尊感情が高まります。
これを学校現場で考えると、
- 友達がたくさんいる
- テストで100点が取れる
- リレーの選手になる
- 先生がいつも褒めてくれる
このような自尊感情を高める条件は、たくさん用意することができます。
◆どうすれば良い?
では、単にテストで100点を取らせたり、なんでも褒め続ければいいのか?というと少し違います。
この時「100点」や「リレーの選手」という「結果」で自尊感情を得てしまうと、それができなくなった時に自尊感情は失われます。
大事なのは、結果ではなく、
- 「100点を取るために勉強した」
- 「リレーの選手になるために練習した」
という努力や行動を、褒めて認めることです。
努力や行動が自尊感情につながることで、長期的に自尊感情をもつことができるのです。
それが、最終的に真の自尊感情につながっていく、という流れを意識すると、教師側は行動しやすいかと思います。
終わりに
最近は、クラス内の子どもの状況をより詳しく把握するために、Q-Uなどの手段を使う自治体も増えてきました。
(Q-Uとは?→http://www.toshobunka.co.jp/books/feature.php?eid=7)
これによって、子供の状態をデータで把握できるので、よりクラスの実態を捕らえやすくなっていると思います。
その中で、自尊感情が低い子の存在が明らかになることもあるので、その子に対して「条件付き自尊感情」を高める方法を考えることが、有効な対策になると思います。
実際は、子どもの実態やクラス環境、先生のキャラなどでやることは変わっていきますが、改善するための視点をもつことが重要だと思います。
一つの例ですが参考になれば幸いです(^ ^)
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