子どもに「発言の大切さ」を伝える

発言しない
「授業中、子どもが意見を言いません」という話をよく聞きます。
質問しても、一部のできる子や元気な子しか手をあげてくれない・・・先生なら多くの人がもつ実感だと思います。
理想は、「間違い気にせず発言し、みんな受け入れてくれる」そんなクラスにしたいと願っています。
でも現実は・・・うまくいかないものです。
前提として、困難さや苦手のある子に無理に発言させない、という配慮はとても大切です。
一方で、「人前で発言する」というスキルは、社会人生活を見越しても非常に大切であり、やりたい子どもしかやらないのは、成長の機会を奪ってしまいます。
また、困難のある子も「発言・発表」は、成功体験を感じやすく、意識を変えたり、成長を促すのにも有効なツールとなります。よって、無理はしないが、なるべく全員発言できる授業づくりを目指していました(^ ^)
大切さを語る
人は自分は納得しないとやりません。
特に「人前で意見を言う」という行動は、「反撃される」「笑われる」という目の前のリスクを乗り越えなければいけません。
人前で発言するのは簡単なことでは無いのです。
よって、子どもに「発言する大切さ」をしっかり伝えて理解させる必要があります。
「先生」の本領が発揮されます(^ ^)
私の語り方 〜国語の授業〜
私「このページを読んでくれる人はいますか?」
子どもが数人手をあげる。
私「◯◯さん、ありがとう。今、3人の人が手をあげてくれました。
今3人は、とてつもなく素晴らしいことができたんです。
わかる人はいますか?」
子ども「・・・」
私「ではみなさんに聞きます。
この中で◯ページの教科書を読めない人は手をあげてください。」
(誰もあげない)
「そうですよね。先生はみなさんが読めることを知っています。
でも、どうして読めるのに発表はできないのかな?」
子ども「・・・怖いから?」
私「そうですよね。
人前で発表するのは『怖い』です。
間違えたら笑われるかもしれません。
それはとても怖いことです。
ではなぜ3人は手をあげて、発表することができたのでしょう?」
子ども「・・・」
私「3人が手をあげることができるのは、このクラスのみんなを誰よりも信じているからです。
私が発表してもバカにしないで、聞いてくれる。
そう信じているから、発表できたのです。
この中で、間違えた人をバカにする人はいますか?」
子ども「いない!」「しません!」・・・
私「そうですね。先生もみなさんはバカにしないと知ってます。
でも発表できないんですね。怖いからです。
しかし、3人はみなさんを信じていたから手をあげることができました。
『人を信じる』ことができた◯◯さん、□□さん、△△さんは、とても素晴らしいと先生は思います。
ではもう一度聞きます。
この中で、このページをもう一度読んでくれる人はいますか?」
(今度は半分以上の子が手をあげてくれる)
私「ありがとう。今手をあげてみんなを信じることができた人を先生は嬉しく思います。
では〜さん、お願いします」
(読んでもらう)
私「ありがとう。今、〜さんが読んでいた時に、もう一つ変わったことがありました。
わかりますか?
それは、聞いているみなさんの顔です。
黙って真剣な表情で聞いていました。
読んでいる〜さんはみんなを信頼して発表してくれました。
その信頼に正面から答えたみなさんがとても素晴らしかったです。」
語ったその後
このように語り
「手をあげて人前で自分の意見を言う」
「友達の発表を真剣に受け止める」
この2つを子どもたちに価値づけます。
その後も、「発表する」「真剣に聞く」ことを価値づけていくことで、話すこと、聞くことの良さを理解し行動できる子どもたちに育てていきます。
終わりに
偉そうに書きましたが、私も若手時代は子どもにどう指導すれば良いのか悩んでいました。
そんなとき、筑波大学附属小学校の二瓶弘行先生の授業を見ました。
超有名な国語教育実践の大家の先生です。
- 先生の言葉に全員が反応し、全員が手をあげる
- 友達の発表を真剣に受け止め、意見を交わす
衝撃を受けました。
それ以来、二瓶先生の授業を見学し、著書を読み、勉強させてもらいました。
そして、二瓶先生の子どもに語る場面を知り、追試し、自分なりに工夫していって上のような指導になりました。
(でも全く二瓶先生のレベルに近づける気がしませんが・・・・)
子どもに正面から語って、理解させる
古臭いと思われるかもしれませんが、「先生の語り」は一番子どもに響きます。
(それゆえに扱いには気をつける必要がありますが・・・)
熱く語る先生ってカッコよくないでしょうか(笑)
以上です。参考になれば幸いです(^ ^)
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