宿題の音読は効果があるのか?:⑶前頭前野の抑制力の向上

目次
宿題の音読は効果があるのか?:⑶前頭前野の抑制力の向上
前回までに2つの音読の効果について書いてみました。
今回は、⑶前頭前野の抑制力の向上について紹介したいと思います。
⑶前頭前野の抑制力の向上
◆子どもと大人の違いは?
子供と大人の違いはなんでしょう?
色々ありますが、私は脳が異なっているという点が大きいと思います。
教育を考える上で、知っておくと便利な脳の機能に、
- アクセルの大脳辺縁系
- ブレーキの前頭前野
があります。
◆アクセルとブレーキ
具体的には、
衝動的、本能的な行動を司っているのが、大脳辺縁系です。
理性的、抑制的に自分をコントロールする機能が前頭前野です。
なぜこの2つが重要かというと、人間の脳は5歳ほどでほぼ成人と同じ大きさに成長した後、20代半ばまでアクセルの大脳辺縁系が先に発達するからです。
つまり、思春期〜社会人数年目あたりまで、人は脳の発達的にアクセルが強い状態なのです。
小学校半ばから思春期に入り、手を焼く親御さんや先生は多いです。
これは、そもそも衝動が強く自分を抑える力が弱いので当然とも考えられます。
大学生〜新入社員の年代は、無茶な飲み会や、世界一周など、良くも悪くも衝動的な行動がよく報道されます(^ ^)
これは悪いことではなく、若さゆえの勢いと捉えて、暖かく見守ればいいわけです。
◆ブレーキが効かない?
しかし、実際は
- 喧嘩、非行、いじめなどの悪い方向に衝動が向かってしまうケース
- あるいは、引きこもり、うつ病など、心を閉ざしてしまうケース
があります。
このように、問題行動や思春期への対策は教育に関わる人は知っておくと便利かと思います。
◆音読の効果
では、音読の話に戻りますが、音読をする時は脳の前頭前野が活性化することが知られています。
前頭前野は、先ほど書いた通り、脳のブレーキの役割があります。
思春期は衝動的な行動が目立ちますが、ブレーキの機能を鍛えていれば衝動的な行動は抑えられます。
前回の記事で、音読をすることでコミュニケーション能力が鍛えられる、という話をしました。
これは、作業記憶を鍛えると同時に、前頭前野も鍛えられ脳のブレーキがしっかり働くことで「冷静に考える」という力も同時についているからだと思います。
子育て中の、親御さんにとって、思春期への不安は誰でも持っているものです。
息子が思春期になって母親を「クソババア!」と呼んだり、
娘に「お父さんの服と一緒に洗濯しないで!」と嫌われたり、
思春期の間だけ、とわかっていても実際に自分の身に起きると、非常に辛いと思います。
そのため、
「音読」
「その他の前頭前野を鍛える活動」
を、日常に多く取りれることで思春期の対策にもなります。
また学校では、学級崩壊への予防にもなるかもしれません。
終わりに
以上音読の3つの効果を書いて見ました。
授業でやるから、宿題で出るから、というだけでなく、音読をするメリットを意識すると今後の取り組みも変わるのではないでしょうか?
参考になれば幸いです(^ ^)