【質問箱】アスペルガー症候群は反抗期がない?

質問箱より
以前、思春期・反抗期の子に対する記事を書きました。
そのときにTwitterの質問箱にて、「アスペルガー症候群のある友人には反抗期がない人が多いが何か理由はありますか?」という質問を受けました。
質問箱の100字程度では解答しきれないので、記事で書こうと思います(^ ^)
反抗期がない?
アスペルガー症候群とは、自閉症スペクトラム(ASD)人の中で知的に遅れがない(=IQ70以上)タイプの人の診断名です。
現在は、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5はすでにASDで統一していますが、日本の発達障害者差別解消法などではまだ、アスペルガーという記載は残っていますので、名称自体はまだ広く使われていると思います。
以下、アスペルガー症候群の人に反抗期がないという意見に対する私の考えを書きます。
アスペルガー症候群の人に反抗期がない?
実際に、統計上のデータがあるわけではないので、本当にアスペルガー症候群の子に反抗期が少ないのかはわかりません。
しかし、反抗期が少ないと思われる理由はいくつかありますので、ご紹介します。
①発達が周囲の子より遅い
アスペルガー症候群の子は、知的に困難はありませんが、それでも発達年齢が周りより遅いことはよくあります。
中学生でも、境界域(グレーゾーン)の子の中には10歳前後の子はいますので、そのような子は思春期反抗期は見られないと思います。
②社会的なルールにこだわっている
自閉症の主な特性に「こだわり行動」があります。
また、その中の1つに「ルールへのこだわり」があります。
こだわりが強い自閉症の子は、納得したルールにこだわりを持ちます。
そして、多くの場合社会的なルールを上位に置きます。
- 立場の高い人の言うことを聞く
- 犯罪をしない
- 学校にはまじめに行く
などの「社会的なルール」にこだわりを持つ子がいます。
例えば、
担任の先生に反抗的な態度をとっている自閉症の子でも、校長先生が声をかけると言うことを聞いたりすることがあります。
これは、「組織の中でトップの人の言うことは聞く」と言う社会性のこだわりがでた一例です。
また過去には「宿題が嫌だ!」と泣き叫んだ子に、担任の先生が宿題を減らしてあげたら
「子どもがわがままを言ったくらいで、宿題を減らすなんて教師失格だ!」
と教師に反抗を始めた子もいました。
これは、「教師は子どもを導く人」と言う社会通念上のイメージを上位においているケースです。
これは現場や子どもの実態によりますが、「実態に合わせる」と言うことが苦手な特性上よく見られる行為です。
少し悲しい例になりますが、自閉症の子の中には学校で辛い経験をしていても、学校には嫌がらず登校する子は多いです。
これは、「学校を休むことはよくない」と言う社会的な常識にこだわり、いじめやトラブルがあっても「学校に登校する」と言うルールを守ってしまうためです。
現在は学校以外にも選択肢はたくさんあるので、辛い経験を続けてしまうのであれば無意味なルールにこだわることは避けて欲しいと願います。
◆反抗期は?
では反抗期の話ですが、自閉症、アスペルガーと診断を受けるレベル子は、
- 「親は大事にする」
- 「反抗する人は悪い人」
などの価値観を持っていて、反抗期よりもこだわりを優先した結果反抗期がない場合があります。
そのような背景もあるので、アスペルガー症候群の子にはわかりやすい反抗期という面は見られないことが多い可能性があります。
終わりに
私が今回書いた内容は、あくまでも仮説ですので参考まででお願いします。
そもそも、子どもは色々な特徴や個性をもっています。
反抗期はどんな子もあるわけではありません。
(MLBの大谷翔平選手は、自主性を尊重してのびのび育てる両親のもと反抗期もなく育ったそうです。)
今、目の前にいるお子さんの実態に合わせて関わっていくことが大切ですね(^ ^)
という言葉で質問者さんの解答にさせていただきます。
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