【書評】教師のあり方を学びたい人へ「ハッピー教育入門」金大竜先生

目次
【書評】教師のあり方を学びたい人へ
「ハッピー教育入門」金大竜先生
日本有数の教育実践家「金大竜先生」の著書です。
大阪の先生ですが、東京で講演された時に一度お話を聞かせてもらったことがあります。
どんな先生かと思いきや初っ端で
- 「先生お名前は?」
- 「ともはる、と言います。」
- 「とも団子!」
と訳も分からず暴言を吐かれた記憶があります(笑)
しかし、理由を聞くと納得し、同時に感動もしました。
「こんな先生がいるのか・・・」
私にとっては未知との遭遇であり「教師のあり方」の手本となる先生になりました。
今回はそんな金大竜先生の「ハッピー教育入門」を紹介します。
本書は、授業や学級経営のノウハウではなく「教師のあり方」がメインの内容です。
まだ30代の若手の先生ですが、その教育論は読んでいて深く納得する内容ばかりです。
現役の先生方や教員志望の方は、必ず何かを得られると思います。
目次
第1章 ハッピー教育入門
第2章 子どもと向き合う時に大切にしていること
第3章 子どもが成長するように
第4章 子どもと子どもがつながる
第5章 自分を磨き続ける
感想
◆教育の根幹は「思いやり」
- 褒めるのか、叱るのか
- 子ども主体か、教師主導か
- 教え込むのか、引き出すのか
教師は、悩む場面が多くて困ります。
しかし、金先生は、
目の前の実態から、いつも相手を一番に考え、最善に向けて行動する
と述べています。
そして、「子どもにとって一番良い方法」を取るのが教師である、と主張されています。
「子ども」を第一に考える、という当たり前のことを非常に深く語っています。
◆子どもは「困らな感」に溢れている
忘れ物をした子どもに先生は必死に指導をします。
しかし、当の本人はうわのそらです。
このような子どもは「自分がいなくても授業は進む」と学んでいます。
子どもは困っていないのです。「困らな感」に溢れています。
「困らな感」を「困り感」に変えないと子どもは変わらないのです。
子どもの実態を明快に表現し、どうすれば良いのかを紹介しています。
本書で紹介されている「困らな感」をもっている子へのアプローチは、私の子ども指導の基本にもなっています。
◆ゴミを拾う人はゴミを捨てなくなる
地域のゴミ拾いを行う学校もあるかと思います。
しかし、なぜゴミ拾いは大切なのでしょう?
「なんとなく良さそう・・・」ではなく、明確で子どもに伝わる言葉を教師自身がもっている必要があります。
そうでなければ、子どもにゴミを拾う必要感を与えることはできません。
そして、意味を理解し行動して、初めて楽しむ工夫をする子が現れる。
一番大事なことにアプローチするから、クラスだけでない、学校や地域を巻き込んだ実践が可能になっていきます。
「教師のあり方」は授業力、学級経営力、子どもの成長、全てを変えていきます。
終わりに
「冬の寒い教室で掃除をしている子がいた
昔は、寒くて集中できなかったので声をかけてやる気を出させた
今は、暖かい水を入れたバケツを教室に持っていく
みんなで手を入れてあったまったら掃除を始めるから
バケツ1つで解決するのに『なんで気づかなかったんだろう』と何度も思いました。」
私が金先生の講演を聞いて一番印象に残った箇所です。
「子どもの気持ちを理解する」ということの大切さと難しさを、常に思い出させてくれます。
自分はどういう教師になりたいのか?
悩んだら一度読んでみることをお勧めします(^ ^)