宿題は本当に意味があるの? 〜宿題のあり方を考えよう〜

目次
宿題への疑問
- 毎日学校から宿題を出される
- 家に帰ったら宿題をして遊びに行く
- 宿題を忘れたら先生に怒られる
日本人にとって宿題は文化のようになっています。
しかし、この「宿題」に関して現場の先生は疑問をもつことも多いです。
- 習い事との両立が大変
- 逆に勉強が嫌いになっているのではないか?
- 遊ぶ時間を奪っているのではないか?
など、弊害も感じます。
本当に宿題を出さなくてはいけないのでしょうか?
宿題に疑問をもつ理由
先生はどんな瞬間に宿題に疑問を感じてしまうのでしょうか?
◆授業が終わらないからだす
予定していた授業が終わらず、「残りは宿題」とついしてしまうことがあります。
しかし、これは時間内で授業を終わらせられなかった先生に責任です。
「予定通り終わらないの・・・ごめんね」
という気持ちをもちつつ、宿題にしてしまうと「本当はいらないのに」と感じてしまいます。
◆保護者に言われたから
保護者から「うちの子は家で全然勉強しないので、もっと宿題を出してください!」という要望をいただくことがあります。
「そうなんですね〜ちょっと学年で相談してみますね〜」
と笑顔で答えますが、
「宿題ってそういうものだっけ?」
と疑問に感じてしまうことがあります。
※基本的な前提ですが、上記のように保護者の方が「家庭学習をさせたい」と言うのであれば、その家庭でやっていただくのが基本です。学校が宿題を出す理由にはなりませんので、下手に左右されないようにしましょう。
◆毎年している慣例だから
4月に新しい学年で集まると
「去年もやっているから、この宿題でいきましょう!」
と決まってしまうことがあります。
職員会議など、教職員の同意を得て始めるのであればともかく、立場が上の先生が一方的に決めてしまうと違和感や疑問を感じてしまいます。
宿題はどう決めれば良い?
宿題に疑問をもちつつも、「どうすれば良いのか?」と考えると意外と難しくなります。
ここでは、私が個人的にこうすれば良いのではないか?
という宿題の決め方を紹介します。
①目的を定める
まず、そもそも
- 「宿題を出すのか?」
- 「出すなら、その目的は?」
ということを学年(あるいは学校)で話し合い、共有しましょう。
前提として、子どもの学力は授業時間内に身につけるのが本来のあり方です。
「時間が足りないから宿題で補う」
というのは基本的にはやってはいけません。
また、家庭の事情で、家では勉強できない子もいますので、子どもの事情もよく考慮する必要があります。
「宿題を出さないと不安になる」という先生もたまに見かけますが、そもそも、「学習指導要領」に「宿題の実施」は明記されていませんので、出さなくても問題はありません。
※「家庭学習」の重要性については触れられているので、家庭での学習習慣の大切さを子どもや保護者に周知することは必要かと思います。
「やる、やらない」を含めて、よく考えて決めましょう。
②宿題の形式を決める
宿題を実施する「目的」が決まったら、どのような宿題をするか決めましょう。
- 各クラスの担任が決める
- 音読カード
- 漢字練習帳
- 計算プリント
- 自学ノート
- 日記、作文
など色々な形式がありますが、目的に沿った力がつく方法を選びましょう。
1日の量、1年間の流れを計画的に決めることで、子どもの実力は大きく伸ばすこともできます。
また、過度に丸つけやチェックが大変な宿題を選択すると、先生自身の業務を圧迫してしまいます。
他の大事なことに時間を避けなくなりますので、先生の手間も考慮したほうが懸命です。
③周知する
宿題の形式が決まったら、子どもと保護者に周知しましょう。
(方法は学年懇談会や学年通信など、伝わればなんでも良いと思います。)
- 家庭での学習習慣をつけるため
- 自ら興味をもったことを学習する癖をつけるため
- 書く、話すなどアウトプットの力を高めるため
など、「目的」をはっきりさせて、子どもと保護者に
「今年はこういう目的で宿題を行います」
と伝えて合意形成を図ることが大事です。
目的が明確でない宿題は形式的になって、
- 勉強が嫌いな子をつくる
- 習い事の多い子に負担を強いる
- 受験期の子どものストレス原因になる
など、マイナスの影響が大きくなります。
もしかすると、保護者は学校に協力的な方が多いので、何も言わないで始めても文句は出ないかもしれません。
しかし、各家庭に様々な事情があるのにもかかわらず、家庭での時間を割いてもらうわけですので誠実な対応を心がける必要があります。
終わりに
学校のすることに、なんでも協力してくれる時代は終わりました。
子どもの実態や各家庭の事情をよく考慮して、宿題のあり方も考えていく必要があります。
また、子どもが「やらされている」と感じる学習方法では、子どもの力は伸びて行きません。
少なくとも「宿題代行サービス」に回されてしまうような宿題ではなく、子どもが主体的に取り組める方法を前提に考えて行きたいですね(^ ^)
以上です。参考になれば幸いです。
※縁あって本を出させていただきました(^ ^)