【書評】通常学級のユニバーサルデザイン プランZero2授業編 阿部利彦

目次
【書評】通常学級のユニバーサルデザイン プランZero2授業編 阿部利彦
通常学級のユニバーサルデザイン
今話題の「授業ユニバーサルデザイン」を特別支援教育のプロである、星槎大学の阿部利彦先生が紹介している本です。
本書では、授業ユニバーサルデザインを生かした溢れんばかりのテクニックと、その理念が紹介されています。
目次
第1章 授業をユニバーサルデザイン化する5つのテクニック
第2章 5つのテクニックから捉えるUD授業の基本形
第3章 子どもの反応から授業をアセスメントしよう
第4章 5つのテクニック実践アイデア
第5章 発達につまづきのある子どもの視点から授業のUD化を検証する
授業自体がソーシャルトレーニング
授業ユニバーサルデザインは、単にわかりやすい授業方法だけでなく、子ども同士の思考も結びつけることを重視しています。
そして、授業では子ども同士の考えを交流し、相手の主張も考える場面が多く、自然と社会性の向上にも繋げているのです。
まさに授業を通してソーシャルスキルを鍛えることになるのです。
子どもの反応は指導の生き写し
授業に参加しない子、反抗する子、落ち込む子
先生は困り、叱ってしまう場面があります。
しかし、子どもの反応は先生の指導の結果なのです。
先生の授業が子どもに伝わらないから、子どもの反応に現れます。
子どもの行動は先生に責任があると、強く意識しなければいけないでしょう。
子どもの学びにくさから出発する
静かで、黙って聞いてくれる子どもたちなら先生は授業がしやすいでしょう。
しかし、それは先生が授業しやすいだけで、子どもの学びに繋がっているわけではありません。
授業に参加できない、クラスで一番困っている子こそ、先生は一番重視すべきなのです。
どうしてわからないのか?
どうして集中できないのか?
子どもの学びにくさから考えることで、先生の授業はレベルアップし、クラス全員がわかる授業になります。
終わりに
近年、発達に課題のある子もない子も同様に学べるインクルーシブ教育が新学習指導要領でも示されました。
そして、より多くの子の学びを保証していこう、と言うすばらしい流れになりました
一方、現場の先生はどうでしょうか?
ただでさえ忙しかった学校現場にさらに負担をかける結果となり、仕事量もプレッシャーも増大しているのが現状です。
つまり、今まで以上に効率的に教師の力を高める必要が出てきたのです
そんな中「発達に課題のある子でもわかる授業は、すべての子がわかる授業」をテーマにした「授業のユニバーサルデザイン」の考えが広まってきました。
今まで「どうしたら教えやすいか?」と言う教師側の視点から、「困難のある子はどうすればわかるのか?」と言う子ども主体の授業づくりに変わったのです。
本書の著者阿部利彦先生は授業のユニバーサルデザインを進める授業UD学会の理事であり、現在全国を飛び回り広めている現場の人です。この本には、授業UDのテクニックが豊富に紹介されています。
同時に授業UDの理念が詳しく解説されており、その理念こそ教師としてあるべき姿を示してくれます。
授業に困っている方は一度読んでみることをお勧めします(^ ^)