子どもの自己肯定感を高める手立て

目次
自己肯定感はなぜ必要?
教育では「自己肯定感」が大事と言われます。
そして、学校教育において子どもに求める最終目標は「自立した学習者」です。
先生に言われなくても、自分で意欲をもって学べるようになることで、社会で生きる力となります。
しかし、自分から学ぶ姿勢を得るには「自分ならできる!」という高い自己肯定感が必要になります。
また自己肯定感が高い人は、前向きに挑戦したり人生における幸福度も高いそうです。
このように自己肯定感は、子どもの成長に重要であり、人生の上でも重要になります。
自己肯定感を高めるには、どのような手立てを取れば良いのでしょう?
今回は、私が考える自己肯定感を高める手立てについて紹介します。
自己肯定感を高めるポイント
通常、自己肯定感を高める方法として有名なのは、
- ありのままを褒める
- できない部分を認めてあげる
- なんでも肯定的に受け止めてあげる
などです。
どれも大切ですが、これは教育現場の実感としては、ベストな方法ではありません。
- 漢字がうまく書けない子に「よく書けたね!」と褒める
- できるようになりたい子どもに「できなくても良いんだよ!」と認める
- 「オレ頭悪いから・・・」という子を肯定的に受け止める
どれも対応としては良くないと感じるのではないでしょうか?
これは極端な例ではなく、教育現場では多々起こります。
ではどうするのかというと、自己肯定感を高めるには
- 自己決定感を得る
- 自己有能感を得る
という2つのポイントがあります。
要は「自分で決めて活動し、成功したという経験を得る」ことが自己肯定感に繋がるわけです。
では、この2つのポイントを意識してどう活動すれば良いのか?というと、
それは「できる」を増やすということです。
以前にも少し紹介しました↓
「できる」を増やす
自己肯定感を高める方法として、昔から「褒めるが先か?できるが先か?」という議論があります。
- 自己肯定感が高いから、できるようになるのか?
- できるようになるから、自己肯定感が高まるのか?
どちらが正しいのかフロリダ州立大学で研究が行われました。
その結果、「学力が高い」ことが原因で、「自尊心が高まる」という結果が得られました。
その上、子どもの自尊心を高めるための「ただ褒める」という活動は、「学力を下げる」という結果になりました。
参考
褒めない方が良いのか?
「できる」を増やすことが大切なら、褒めない方が良いのか?かというと、そんなことはありません。
「できる」を増やすために「褒める」が必要なのです。
手立てを説明する前に、そもそも学級はどのような流れで子どもを成長させるのでしょうか?
以下は簡単な図ですが、私が担任していた時にイメージしていた1年間の子どもの成長を示した図です。
自治的=子どもたちだけで活動できる集団を目指して、計画的に手立てを組んでいきます。
表の4月の時点では教師が教えて支援する部分が大きくなります。
そして3月になるにつれ、子どもが自分で「できる」活動を増やしていきます。
そして、図の下の3つの活動をメインに、年間を通して褒めて目標の3月の姿を目指します。
具体的な手立て
活動は大きく3つです。
- 授業
- 係活動
- お楽しみ会
「普通か!」と言われそうですね(笑)
◆授業
学校は授業がメインです。
授業こそ子どもが「できる」ようになり、自己肯定感が最も高まる場です。
毎回の授業で、指導内容を明確にして、毎日子どもに「できる」を体験させる。
これだけで、子どもの自己肯定感は上がり続けていきます。
「授業がよければクラスは崩れない」というのは学校の常識ですね(^ ^)
ただ、そうは言っても良い授業をするためにも「褒める」ということが重要です。
上記の記事で書きましたが、褒めるのにもポイントがあります。
これは子どもに「できた!」という実感を確実に与えるためにとても大事です。
何もないところで褒めても意味はないのです。
子どもの前進を明らかにし、成長を実感させるために「褒める」のです。
そして、褒めることを駆使して子どもに「できた!」という経験を繰り返します。
同時に最後の3月までに、授業も子どもたちだけでできるようになることを目指します。
「先生がいなくても授業ができる」これができれば、子どもは自分たちだけで成長できる存在となり、高い実力と自己肯定感を得ることができます。
◆係活動
係活動は、クラスのために自分がしたいことを決めて活動します。
自己決定感が非常に強い活動です。
また、係活動のポイントとして「立ち上げと倒産」があります。
これは、自分が「クラスの役に立つ!」と思ったら、新しく係を立ち上げて良い。
同時に、もうこの活動はいらないと判断したら倒産させて良い。
というルールです。
このシステムがあると、新しく自己決定する場が増えます。
同時に自分のやりたいことが次々とできるので、意欲が継続しやすいという面もあります。
この活動を1年間通すことで、子どもたちの自己肯定感の向上につながります。
注意ポイントは意欲があっても、それを支える道具や場所や時間がなければできないということです。
ここは、先生の腕の見せ所です(^ ^)
◆お楽しみ会
お楽しみ会は子どもは大好きです。
「頑張ったらお楽しみ会をやるよ!」と報酬にする先生も多いのではないでしょうか?
最近は、「学校の行事が増えて実施できない」という声も聞こえますが、子どもの自己肯定感を高めるには有効な活動です。
このお楽しみ会は、子どもが主体となって進めます。
企画運営係を決めて
- 司会進行
- レク
- 出し物
- 飾り付け
- 時間調整
など、自分たちで決めて進めます。
もちろん、いきなり任せると失敗しますので、最初のうちは先生が手を貸しながら子どもに教えていきます。
同時に「最後は、君たちだけでお楽しみ会をできるようになってね(^ ^)」と目標を持たせます。
月1回、1年間で約10回できると、順調に行けば最後は自分たちでできるようになります。
これは、学校だけでなく私生活でも色々な企画をするようになるので、子どもにとっては大きな力となります。
終わりに
自己肯定感は、子どもの成長に重要です。
同時に、自己肯定感が低すぎる、あるいは高すぎても子どもの成長に負の影響を及ぼします。
適切に高めていくには、自分が成長し「できた」という実感と共に高めていくことが重要なのです。
できないのに、偉そうにしても周りも本人も良い結果にはなりませんよね(^ ^)
教育とは「教えて育てる」です。
確かな成長を子どもに与えられる教育者を目指していきましょう(^ ^)
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