【授業案】2年国語スイミーと比喩表現 〜登場人物の気持ちはどう読み取ればいい?〜

比喩の効果
比喩(ひゆ)という言葉の表現技法があります。
比喩は読解や作文で重要になるので、授業で丁寧に教えています。
まず、比喩とはなんでしょう?
比喩は、物事の状態や様子を、他のものに例えて表す表現です。
- 「〜のような」
- 「〜みたいに」
という言葉で使われます。
(これは正確には直喩、上の言葉で使わない比喩を暗喩と言ったります。今回は直喩の指導です。)
一般的に比喩は、物事や様子をイメージで伝えることで、わかりやすく相手に伝える技法として使われます。
例えば「笑顔」より「太陽のような笑顔」と言った方がイメージが伝わります。
この比喩表現ですが、物語の読解の時は、もう少し踏み込んで指導します。
読解における比喩

2年生の代表的な物語「スイミー」では、この比喩表現が多く使われているので、物語の読解の時に一緒に指導します。
- ミサイルみたいなまぐろ
- にじ色のゼリーのようなくらげ
- 水中ブルドーザーのようないせえび
のように、比喩表現を使って、スイミーが出会った様々な生き物が紹介されます。
ここでの比喩表現は、
- スイミーの視点で見た生き物のイメージを表す
- スイミーの気持ちを表す
という2つの意味があります。
①スイミーの視点で見た生き物のイメージを表す
<ミサイルみたいなまぐろ>
まぐろは、人間から見るとただの大きい魚です。
しかし、スイミーのような小さな魚から見ると、まさに、まぐろは人間から見たミサイルと同じように感じられるでしょう。
<水中ブルドーザーのようないせえび>
これも、小さな魚であるスイミーから見ると、いせえびは人間からみたブルドーザーのように感じます。
このように、比喩は登場人物の視点から見たイメージになります。当たり前のようですが、教えないと見た目のイメージだけで捉えて、サイズ感や威圧感のようなイメージが伝わらない可能性があります。
②スイミーの気持ちを表す
比喩表現は、単に物事の様子をわかりやすくするだけでなく、登場人物の気持ち、心情を表す表現としても使われます。
物語の中でスイミーは、仲間達をまぐろに食べられてしまって、必死に逃げます。
そして一人になって、暗い海の底を泳いでいる時に、不思議な生き物たちと出会います。
最初は「寂しかった」スイミーが、
- にじ色のゼリーのような くらげ
- 水中ブルドーザーのような いせえび
- やしのきみたいな いそぎんちゃく
などの生き物に出会っていきます。
さて、ここで使われている比喩として
- 「にじ色ゼリー」
- 「水中ブルドーザー」
- 「やしの木」
が使われています。
なぜこのスイミーはこのイメージをしたのか?
それはこのイメージが直接、スイミーの心情を表しているからです。
例ですが、
もしスイミーが怖くて寂しいままなら、くらげは「にじ色のバケモノ」に見えたかもしれません。
いせえびは「岩のかいぶつ」に見えたかもしれません。
このように、マイナスの気持ちの時はマイナスのイメージで表現されるのです。
しかし、「にじ色ゼリー」や「水中ブルドーザー」「やしの木」など、マイナスではなく、楽しいプラスの言葉で表されている、ということは、スイミーの気持ちが「寂しい気持ち」から立ち直って、元気になっていることを表している、ということになるのです。
比喩は登場人物のイメージ
最初に言いましたが、物語において比喩は登場人物のイメージで表されます。つまり
比喩表現=心情の様子
ということになります。
簡単に言えば、
- マイナス言葉の比喩=登場人物のマイナスの気持ち
- プラス言葉の比喩=登場人物のプラスの気持ち
を表していることになります。
人間も同じで、楽しい気持ちで見る海と、暗い気持ちで見る海は、異なるイメージに感じることが多いと思います。
なので、比喩表現に注目すると、登場人物の気持ちを判断することができます。
よく「この時の登場人物の気持ちはなんでしょう?」という「作者でもないのに、わかるわけねーよ!」と言いたくなる問題もあります(笑)
そんな時も、比喩表現に注目すると結構判断できたりします(^ ^)
作者も・・・
実際、スイミーの作者のレオ=レオ二も、
「生き残ったスイミーは、苦しんだが故に、徐々に人生の美しさに気づくようになります。
初めは寂しがっていますが、やがて人生を詩的なものとして眺めるようになったから、生命力と熱意を取り戻すのです。
このところは、私にとっては、とても重要なことなのです。」
と書いています。
「国語の授業は指導が曖昧でどんな力がついたのかわからない」と言われることが多いです。
しかし、比喩をはじめとした、様々な言葉の表現を一つひとつを教えていくと、子供は徐々に読む力や書く力がついていきます。
「国語で何を教えればいいかわからない」ともし悩んでしまったら、表現技法に注目すると良いかもしれません。
一つの方法ですが参考になれば幸いです(^ ^)
以上です!
PS:
スイミーは、物語自体が面白いですが、翻訳した谷川俊太郎の翻訳力が凄まじいな〜と読んでて強く思います(^ ^)
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