悪口を言ったり、叩いてしまう子への対応 〜タイムアウトとタイムイン〜

悪口を言ったり、叩いてしまう子への対応 〜タイムアウトとタイムイン〜
言っても聞かない子
- 悪口を言う
- 友達を叩く
- 叱っても平気な顔をする
両親や先生が叱っても、一向にやめない子がいます。
つい大声で怒鳴っても、子どもは変わらず大人の方が自己嫌悪になってしまう。
一体どうすれば良いのでしょう?
タイムアウトとタイムイン
このような子への「しつけ」として、欧米ではタイムアウトとタイムインという方法が主流です。
これは、1つの研究から始まった方法です。
【研究】懲罰か?言い聞かせか?
幼児期の子どもたちを
1、『ルールを破ったら』懲罰室に入る
2、大人がなぜ悪かったのか穏やかに言い聞かせる
という2つのグループに分けて、どちらが子どもの成長に効果があるか検証しました。
その結果、「1、『ルールを破ったら』懲罰室に入る」の子の方が、問題行動が消え、友達関係が良好になるという結果が得られました。
反対に2の子供達は、問題行動が減ることはありませんでした。
当時の人も予想外の結果だったそうです。
(理論的な説明は、長くなるので別の記事で紹介します。)
その研究結果を活用した子どもへの「しつけ」の方法がタイムアウトです。
◆タイムアウト
タイムアウトは子どもが癇癪を起こしたときに、静かな場所で1人になって冷静に考えさせる、というしつけの方法です。
手順(家庭の場合)
⑴子どもと「ルールを破ったら反省するまで部屋の隅の椅子に座ってもらいます。」という約束をします。
→約束を子どもが理解していないと、「1人で放置された」と思ってしまい反省につながりませんので重要です。
→場所は静かな部屋でも良いです。ただし、親が見える場所の方が、子供は安心して行動を振り返るようです。
⑵決められたルールを破ったらタイムアウト開始
→「約束です。行きましょう」と移動します。
→「なにが悪かったか考えてね」と言って子供を1人にします。
⑶時間は年齢×1分が目安
→3歳であれば3分、5歳であれば5分です。短い気がしますが子どもは非常に長く感じます。
⑷時間が経ったら
→子どもが「もうしません」という言葉が出たら終わりです。
→その後、子どもが何を思って、何を考えたか、穏やかに聞いてあげます。
◆タイムイン
タイムアウトは欧米で主流となりました。
しかし「そんなことをするならタイムアウトです!」と罰として使ってしまい問題行動を悪化させるケースが出てきました。
そもそも、子どもの問題行動は
「構って欲しい」「助けて欲しい」
という願いから行われます。
その願いに沿うと同時に、タイムアウトの反省から生まれた方法がタイムインです。
手順(家庭で行う場合)
⑴子どもが問題行動を起こす
→子どもを移動させ、親と子の2人だけになる。
⑵話を聞く
→子どもが考えて思ったことを全て言わせまます。
→親や何も意見を言わず、「嫌だったね」「悲しかったね」と全て受け入れて聞いてあげます。
→どんなに時間がかかっても聞きます。
⑶おとなしくなったら何が悪かったのか伝える
→感情を全て吐き出すと、子供はおとなしくなります。
→そのタイミングで、何が悪かったのか、どう言えばよかったのか伝えます。
→そうすれば素直に納得します。
先生や指導員が行う場合
2つの方法は、家庭以外の場でももちろん有効です。
ただし、いくつかポイントがありますので、私が担任時代に行っていた方法を紹介します。
①タイムアウトの基準は子供全体に伝える
→通常学級でタイムアウトを行う場合は、先生の指導が入らないかなり厳しい子の場合に限られます。
→暴力や暴言、机の上に乗る、授業中大声で歌う、先生が注意してもやめない、など基準を明確にしておきます。
②タイムアウトは、静かな教室を使う(なければ、廊下の隅など)
→教室では授業があり、静かな環境を用意することが難しいです。
→よって、教室外でタイムアウト用の場所を設定します。
③空いている先生に協力をお願いする
→教室の外では先生が見ることができません。
→なので、事前に空きの先生に来てもらいタイムアウト場所まで連れていくように依頼しておきます。
(職員会議など全体周知できる場が良いでしょう)
→空きの先生には、担任の先生が後で来るまで子どもを遠目に見守ってもらいます。
④連れて行ってもらった後に、教室の子供たちは自習の時間にする
→先生に連れて行ってもらった後、年齢×1分の時間が来るまで、自習の指示を出します。
→そして、時間が来たら子どもの元へ行き、協力してくれた先生にお礼を言って交代します。
→反省の言葉と子どもの考えを聞いていきます
→反省したことが確認できたら、教室に戻ります。
⑤叱った後は3倍褒める
タイムアウトは問題行動の消去に効果的ですが、「叱る」という行為に分類されます。
なので、普段から良いところを見つけてしっかり褒めなくてはいけません。
褒めないでタイムアウトばかりしていると、結局タイムアウトにも慣れてしまい効果がなくなってしまいます。
「1叱ったら3褒める」の精神を忘れないようにしましょう。
終わりに
担任時代タイムアウトを用いる機会は数回しかありませんでした。
理由は、「先生の働きかけ」と「子ども集団の力」を使った指導の方が効果的であり、早かったからです。
しかし、そんな考えを吹き飛ばすような規格外の子も存在しました。
「今までの方法だと無理だな・・・」
と思って取り入れたのがタイムアウトとタイムインです。
時間と手間もかかりますし、周りの先生のご協力もいただきましたが効果は確かでした。
数回のタイムアウトでおとなしくなって、授業に参加するようになりました。
なので、学校の先生は知っておくと効果的な支援になるかと思います。
逆に、先生ではなく個別に子どもを見る
- 「家庭」
- 「学童や放デイの指導員」
- 「特別支援学級」
などには必須の技術かと思います。
私も勉強中で、改良中の技術ですので、何かコメントをいただけると嬉しいです。
また世界中にいろんな教育技術があります。
自分のやり方にこだわることなく、新しいものを取り入れていけると良いですね!
参考になれば幸いです(^ ^)