図工の鑑賞×交流を深めるハッピーレター大作戦

目次
古川先生のハッピーレター実践
先日、有田和正継承セミナーを主催している兵庫県の古川光弘先生にお会いしました。
気さくな性格と爽やかな笑顔が印象的なステキな先生でした(^ ^)
その時に、子ども同士の交流を深める実践として「ハッピーレター大作戦」を紹介していただきました。
「友達の好きなところや良いところを手紙に書いて届ける」というシンプルな実践ですが、古川先生の細かな工夫により非常に効果の高いダイヤモンド実践となっていました。
実は、私もかつて同じ実践をしたのですが、うまくいかなかった経験があります。
古川先生のお話を聞いて「こうすればよかったのか〜」と反省し、振り返ることができました。
◆私の場合
今であれば、古川先生の実践を参考に取り組むと思いますが、当時の私はできませんでした。
ハッピーレターのような実践は「子どもの書く力を高める指導」が重要になります。
しかし、最近の傾向として「書く力」のような時間のかかる指導は後回しにされる傾向があります。
よっていきなり「友達のいいところを書きなさい」と言っても、書けない子や十分に気持ちを表せない子が多く、当時の私は十分に効果を出せないまま失敗してしまいました。
そこで当時の私はあるものと組み合わせて、ハッピーレター実践をしました。
それは「図工の鑑賞」です。
今回は図工の鑑賞とハッピーレターを組み合わせた実践を紹介します(^ ^)
◆やり方
図工の鑑賞は、
- 友達の作品を見て感想を鑑賞カードに書く
- 感想をクラス全体で紹介・交流する
というやり方はよくあると思います。
自分の作品を友達に紹介してくれた子はとても嬉しそうです。
私はここに「ハッピーレター」と同じ効果を感じていたので次のように実践してみました。
- 自分の机に作品と上記の鑑賞カードを置く
- 作品の鑑賞の視点を伝える(以下のポイントに詳細)
- 交流タイム(友達の作品を見て、感想をカードに書いていく)
- 全体で感想を交流
- 全体でもらって嬉しかったコメントを交流
という流れで実施していました。
◆流れ
①自分の机に作品と上記の鑑賞カードを置く
名前と単元名を書かせます。
②作品の鑑賞の視点を伝える
本時のねらいは鑑賞の力をつけることなので、ここはしっかりと示します。
(以下のポイントで詳細は紹介)
③交流タイム(友達の作品を見て、感想をカードに書いていく)
ここは子どもの実態にもよりますが、
- 同じ班の子に感想を書く
- 班の友達全員に書いたら自由交流
という流れで最初はおこなっていました。
鑑賞に慣れてないうちに自由交流にすると上手な子に感想が集中してしまうので、どの子にも友達の感想が届けられるよう配慮が必要です。
(慣れてくると、最初から自由移動で鑑賞します。)
④全体で感想を交流
全体で友達の作品のよいところを交流します。
この時に、鑑賞の視点に沿った発言を価値づけすることが重要です。
価値づけすることで、鑑賞の苦手な子も徐々にできるようになっていきます。
⑤全体でもらって嬉しかった感想を交流
もらって嬉しかった感想も発表します。
この時、時間があるなら全員発表しても良いと思います。
相手の良いところを発表する場合は、子どもによっては「恥ずかしいから言いたくない!」という子もいます。
しかし、図工の作品を介しての発表なので比較的ハードルが下がるので、どの子もいいやすくなります。
直接、友達のいいところを伝えるなどダイレクトな交流に進むための前段階のステップとして、「もの」を間に挟んで交流するのは効果的です。
◆鑑賞の視点を示す時のポイント
鑑賞なので作品を見る時のポイントは正しく伝えます。
<低学年>
<中学年>
<高学年>
指導要領で各学年の鑑賞の視点が示されていますので、単元の実態に合わせて示します。
特に、各学年共通して、
- 形
- 色
- 表し方(材料の活かし方)
の3つが必要になるので、この3つに絞って話型と例文を示します。
(例文は指導書の例文を参考にしていました。)
ここで評価ポイントを具体化すると、子どもが良さを見つけやすくなり、友達の作品へのコメントの質がアップします。
当然、具体的によさを書かれると、書かれた子はとても嬉しいですし、他の子へのコメントにも気合が入ります。
このように「よさを伝えやすくする」という先生の支援によって、「嬉しいことをされたら、お返しをしたくなる(返報性の原理)」という状況をつくります。
この結果、子ども同士の交流が深まり学級の雰囲気がよくなります(^ ^)
◆感想が少なそうな子への支援ポイント
交流をする時に注意することとして、「上手な子に感想が集まり、苦手な子の作品の感想が少なくなる」という傾向があります。
この対策として、
時間は十分にとる
→20〜30分時間を取ると、感想を全員分書くツワモノが、何人も現れます(^ ^)
先生がコメントをする
→「この作品はすごい・・・誰か気づく人はいるかな?」と静かにコメントすると、「なんだなんだ!」と子どもたちは先生の意図を見つけようと、必死によさ探して感想を書きます。
などを行います。
慣れてくると、どの子も鑑賞カードの感想欄は全部埋まるようになります(^ ^)
◆交流の間に評価と所見もメモする
子どもの自由交流の時間に、教師は鑑賞カードを見て回ります。
そして、鑑賞の視点に沿って、友達のカードに感想を書けている子を評価していきます。
また、特に良い感想、あるいは全体交流の時に素晴らしい意見を言った子は、言葉をそのままメモして放課後そのまま所見に書きます(^ ^)
終わりに
図工の鑑賞は、多忙な授業の中でどうしても後回しにされがちになります。
(友達の作品の良いところをカードに書いて終了など)
しかし、子ども同士の交流の効果を実感すると、先生も鑑賞の時間が楽しみになります(^ ^)
1ヶ月に1〜2回鑑賞の機会はあると思うので、1年を通して続けると非常に力がつき、学級の雰囲気がよくなりますので、参考になれば幸いです!
参考
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